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~ 審判コラム ~

秋田県野球協会審判部 山本支部 近藤貴之

 今年の1月に39歳となった私が野球というスポーツに出会ったのは小学校4年生の時。 それから約30年が過ぎました。人生の75%を野球とともに生きています。 三種町(旧琴丘町)の鹿渡小(現琴丘小)、琴丘中、能代高と主に外野手として約9年プレー、 高校卒業後はファンとして野球観戦を続け、ある日、父の知り合いである現役審判員の方から誘いを受け、 平成25年に2種資格審査を受け合格。平成27年に1種資格を取得し、現在に至ります。

 平成25年から正式に審判員として活動していますが、 私の審判人生の本当の始まりと言っていいかもしれない試合が、高校1年生の時にありました。 ある日の練習試合で3塁審として(嫌々・・・)立つことになりました。 特に何もなく試合は進行していきましたが、私の属する高校が攻撃中、ちょっとだけ怖めの先輩が3塁走者のときに牽制があり、 私は何となくアウトに見えたのでアウトをコールしました。 その時、グラウンドは静寂に包まれ、先輩が何とも言えない顔でベンチに帰っていきました。 怒りなのか呆れなのかよくわからない表情をした姿が今でも忘れられません。 ジャッジが正しかったのかどうかはグラウンドの雰囲気で感じましたが、 あの時、審判としてグラウンドには二度と立ちたくないと思ったものです。

 高校時代の出来事を考えると、よく審判員になったものだなと自分でも不思議に思いますが、 根底にあるのが野球大好き精神なのかなと思います。 グラウンドでは年齢も立場も違う選手と審判員、娯楽としてプレーする選手もいれば優勝目指して本気でプレーする選手がいます。 そんな様々な選手、審判員が1つのボールを追いかけハッスルします。 ただ、娯楽本気問わず、どんな試合でも変わらないのが、ヒットを打ちたい、セーフになりたい、アウトにしたい、 三振を取りたい等、必死にプレーする選手です。みんな野球が大好きな方々です。 野球を愛する方々の必死なプレーを的確にジャッジできるよう、我々審判員は技術や知識を身につけなければいけません。 大好きな野球を皆さんと一緒にグラウンドで元気よく駆け回れるよう、健康第一で準備したいと思います。

 私が審判員として活動し始めてから今年で12年ですが、本記事を書くにあたりいろんな経験をしたことを思い出しています。 初めて球審を務めた日(学童でしたがめちゃくちゃなストライクゾーンで子供が泣いてしまいました)、 初めて2塁審を務めた日(動きが分からず1塁を務めていた大先輩から大声で叫ばれました)、書ききれない、 書きたくない様々な経験が今の審判員としての私を作り上げています。 そんな私も経験を積み重ね、昨年はJABA東北大会(宮城県)、クラブ選手権東北2次予選(山形県)へ派遣して頂きました。 JABA東北では2023年都市対抗野球準優勝チームであるヤマハの試合で球審を務めさせて頂きました。 試合前はレベルの高さについていけるのか、心晴れやかに無事秋田に帰ることが出来るのか等々、不安との戦いがメインでした。 試合中は必死で余裕のかけらもありませんでしたが、トラブルなく無事終了しました。 この試合を経験できたことは、これからの活動を支えてくれると思えるほど、大きな財産となっています。 また、昨年2月には埼玉県で行われた全日本軟式野球連盟の技術研修会へ参加する機会も頂き、 全国の審判員と切磋琢磨し交流する機会も頂きました。 仲間が全国に増えたことは、審判活動をさらに魅力的なものにしてくれています。 日頃からたくさんの方々にご指導いただき、お世話になっていることがこのような機会に繋がったと思っています。

 審判員として活動する上で欠かせないのが家族(妻・娘)の理解です。 休日は家族サービスより球場優先、平日の試合は仕事を休んで球場へ、県外派遣の際は宿泊して球場へ。 このように書くととんでもない夫・父親ですが、妻は幸いにも野球好きなので、審判員として活動する私を応援してくれています。 娘は残念がる日もありますが・・・。こんな生活なので3歳の娘は私の本業を審判員だと思っているみたいです。 たまに球場に見に来てくれたり、テレビにちらっと映る私を見つけて喜んでくれたりと、 家族の存在が励みになり頑張ることができます。感謝です。

 秋田県の審判員は現在1,200名程です。 数だけ見ると多いように見えると思いますが、年々減少しており、また高齢化も進んでいるのが現状です。 ただ、このような状況は新規取得者、とくに若い方にはチャンスだと感じます。 グラウンドに立つ機会が増え、その分経験を積むことができ、経験を積むと支部から県大会へ派遣され、 実力がついてくると秋田県代表として東北大会へ派遣されるチャンスが生まれます。 そこでは新しい仲間ができ、交流を深めることもできます。仲間が増えるというのは楽しいものです。

 審判員は男女問わずなることができ、野球経験の有無も問いません。 ちょっとした好奇心でスタートすることができます。 毎年10月に行われる講習を受講すれば「あなた」も審判員になることができます。 この記事が少しでも「あなた」の好奇心をくすぐることができたら幸いです。 我々は仲間を求めています。一緒に野球を楽しみましょう!