私の父も審判員をしており、小さい頃から私たちの試合で審判をしてくれていました。その影響もあり、私の2人の息子が、将来野球を始めた時に協力したいとの思いから、審判員の資格を取得しました。最近は社会人や大学、高校野球などの審判をする機会が多く、息子たちの試合で審判をする機会は少なくなりましたが、今でも楽しみのひとつです。初めて審判員としてグラウンドに立ったときは、選手の時には思わなかった難しさを感じ、全くできない不甲斐なさと悔しさでいっぱいでした。その悔しさから数々の試合に立つうちに、いつの間にか審判員の魅力にとりつかれていました。これまで完璧に終えたと思える試合は一度もなく、毎試合が反省の連続です。それでも同じくらいの達成感を味わえるからこそ、今もその魅力にとりつかれているのだと思います。
今ではあらゆるカテゴリーの試合に携わらせていただいており、今年は第100回大会に続き、第103回全国高等学校野球選手権秋田大会の決勝の舞台に立たせていただきました。攻守決定の際「高野連の『F』マークに込められた意味をしっかりかみしめてプレーしよう(Fight・Friendship・Fairplay)」「秋田県代表を決めるにふさわしい試合をしよう」と両主将に声をかけました。両チームはそれに応えるかのように、素晴らしいプレーを見せてくれました。試合前は緊張から「早く無事に終わってほしい」と思うばかりでしたが、試合開始が近づくにつれ「彼らの2年半に全力で応えよう」と気持ちが高ぶってきました。試合が始まり3回くらいまでは、地に足がついていない何かフワフワしたような感じがありましたが、徐々に気持ちも落ち着き、一緒に組んでくださったクルーの方々の協力のもと幸せな2時間9分を過ごさせてもらいました。今年は2年ぶりにスタンドに多くの野球ファン、応援団の姿がありました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大となる前までの日常が、どれだけ有難いものであったか、選手同様に私たち審判員も改めて心の底から感じることができました。また、都市対抗野球二次予選(石巻市民球場・仙台市民球場)にも派遣していただきました。都市対抗野球は“社会人野球最高峰の大会”とされ、本戦出場に懸ける選手の思いが伝わる気迫溢れる戦いは、高校野球や大学野球とまた一味違う、大変貴重な経験となりました。
これまで全国での講習会や県内外での大会などで、県内をはじめ北海道から沖縄まで、たくさんの審友ができたことも私の活動の意欲に繋がっています。日頃の試合での疑義を確認したり、ニュースで災害を知った県外の方からの安否の確認であったり「不足している物があれば送るよ」などの連絡をいただくこともありました。その彼らが全国の舞台で活躍している姿を見るのも楽しみであり、その度に私も頑張らなければと励みになっています。
先日、一般社団法人スポーツマンシップ協会主催の『JSA Sportsmanship Coach Academy資格認定講習会』を受講させていただきました。サッカーのフランス代表元監督ロジェ・ルメール氏の言葉で「学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない」とあります。日本人は世界でも有数な学ばない人種といわれますが、現状に満足せず、常に知識のアップデートが必要だと感じます。スポーツを通して生き方を学んでいる選手の導き役として、指導者や審判員は自信と誇りをもちながら、選手と向き合い共に成長していくことが必要です。講習会などを通して、あらゆる情報を取り入れながら、自らの行動でスポーツの価値を高めていければと思います。
これまで、部長をはじめ諸先輩方からのご指導のお陰で、今日の私があります。選手のプレーが日々進化していくなか、私たちもそれに負けない審判スキルを身に着け、磨き続け、応えることが求められます。奢ることなく更なる経験を積み、甲子園大会や都市対抗本戦などに派遣していただけるよう、これからも審判活動に励み精進していきます。県野球界に少しでも貢献できるよう、引き続きご指導よろしくお願いします。
終わりになりますが、秋田県では審判員の資格取得について、18歳以上という年齢の制限以外はありません。これまでと違った目線で野球を楽しみませんか?審判員に少しでも興味のある方は、私たちと一緒に野球を盛り上げ、楽しんでいきましょう。