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全国でも負けない野球人の育成

菅原 達郎

能代市に野球に特化したメソッドを今年一月に開設し、子供たちと一緒に目標に向かって取り組んでいます。
私自身、小学5年生から野球と関わり、中学、高校、大学、社会人クラブと様々な経験をさせていただきました。また、社会人なってからは高校野球のコーチ、学童コーチなど指導者としても野球にかかわることができ、たくさんの子供たちの思いのお手伝いを通して自身も野球人として成長させていただいたと感じております。

そんな野球の指導をしていると、よく聞くお話がいくつかあります。特に学童野球を指導していると聞くのが、『うちの子は投げる球が弱くて』『うちの子は走るのが遅いから』などの能力の部分に着目した声です。たしかに足の速い子、球を強く投げられる子がいますが、学童野球においては能力ではなく、体格や身体的な成長の部分が大きく関係していると感じます。現に学童時代は体が大きく目立った子でも、その後の身体的成長のスピードは遅いと、周囲と差がなくなり、目立った成績を残せないことがあります。
ただ、これについては後から述べますが、あくまで身体的成長の差と、スキルの成長に対する取り組み方が大きく関係しています。中学校野球についても同じような声を聞きます。ですが、中学生に関しては身体的に変化の大きい時期であり、ケガや心身のバランスなど注意すべき点が多く混在する時期となります。逆に言えば、中学生の野球に取り組んでいる期間をどう過ごすかが、その後の野球という競技を続けるときに、大きく影響してくると感じています。
そこで、私自身が運営しているメソッドのお話をしていきますが、まずは前段で述べてきたことについては、あくまで野球という競技の中での話であり、生徒として野球も選択しているということは、学校生活や友人との関係作り、挨拶や礼儀など人間形成の部分が大前提であり、グランド内では人間力が最も重要であることを前置きします。

□メソッド開設のきっかけ
学童野球を指導し始めたときに、一番最初に驚いたのは、転んだ時に受け身を取れずに、顔から転んだ部員を見たときでした。自分の身体を思うように動かす、危ないときに回避するなどの基本的な動作ができない子が多いと感じました。真っ直ぐ走るということも難しく見えます。それとは逆に、野球の技術は当時と比べられないほど上がっていることにも驚きました。体の使い方が身についてくれば、さらに能力が上がるのではないかと考えました。
そこで、全国の様々なメソッドのトレーナーの方々や、指導者の方々と意見交換をし、少年期の野球のトレーニングにおいて、大事なことは基本ではありますが、自身の身体を使いこなし強い体を身につけることにたどり着きました。

□身体の変化を意識させる取り組み
まずは、メソッドのトレーニング中の雰囲気ですが、トレーニング中は子供たちのリクエストで音楽を流しながらトレーニングしています。口ずさみながら、リズムよくトレーニングすることができるのと、トレーニングに耐えるというよりは、自然に取り組めるようになります。できるだけ自主的に取り組めるように、雰囲気などの環境作りを子供たちのリクエストで作るようにしています。
また、トレーニング中の会話もたくさんするようにしています。きついメニューの時などに、会話をしながらお互いの動きを意識することで、動き始めたときの集中力は上がってきてます。最初のころは、子供たちに「会話しながらトレーニングしよう」と言っても、なかなか言葉がでこなくて、ただただ「キツイ」、「疲れた」、「もう動かない」など、マイナスな言葉が並んでいました。ですが、今ではお互いに今の動きは「こうだ」、「こうしたらどうだろう?」、「もっといけるんじゃないか!」など、かなり前向きな言葉に変わり、ポジティブ思考になってきました。
こうなるとトレーニングの効果もぐんぐん上がり、なにより自分の変化に気づき始め、トレーニングが楽しくなります。トレーニング中は、本当にみんなたくさんの会話をして、時にはふざけあっていたりもしますが、切り替えもできるようになってきました。このようなメンタル的なトレーニングも意識しながら取り組んでいます。

□肉体的トレーニング
メソッドでは小6~中3までの生徒がいますが、特に小6の生徒が最初に取り組んでいるのは、姿勢です。背中や肩幅が丸まったままプレーをしている子をみることがありますが、それでは力をうまく伝えられなかったり、動きの幅にロスが生じたり、デメリットはたくさんあります。まずは、その姿勢をつくるトレーニングが、最初の取り組みとなります。
現在中1の生徒たちに関しては、メソッドに入会してから約半年がたちました。最初は姿勢が悪く、投げる、打つ、どちらもインパクトが弱いと感じていましたが、今では、背中や肩幅の丸まりが解消され、自然と胸を張れるようになり、インパクトの強さが感じられるようになりました。個人差はありますが、それぞれが変化を感じ始めています。やはり姿勢が改善しただけでもパフォーマンスのアップを実感することができます。


□成長の先に
ほんの一部のご紹介ではありますが、このように子供たちは、少しのきっかけで素晴らしい成長を見せてくれます。それぞれの所属するチームで指導者からの指導を理解し、身につける為の身体とメンタルをメソッドでは、成長させてあげたいと取り組んでいます。
まだまだ地方では珍しい取り組みかもしれませんが、私自身が全国の野球関係者と関わってきて抱いたことですが、地方だから取り組めないのではなく、地方でも取り組めるし、地方から全国にも負けない野球人になっていけると思っています。 昨今は、野球人気が低迷しているなどと言われていますが、今も昔も野球にひたむきに取り組んでいる子供たちは、変わらずに泥だらけになり、涙を流し、仲間とともに歓喜しております。そんな子供たちに少しでも、私自身もいろんなことを伝え、ともに成長しあえたら本望です。

□未来のために
全国の様々な野球関係者の方とお話をしても、秋田はまだまだ野球熱が高く、野球に対する情熱を感じると、お話していただけます。そんな秋田の野球を微力ながら私なりのアプローチで、子供たちと向き合いながら、盛り上げていけたらと考えています。 まだまだスタートしたばかりですが、今後はたくさんの新しい経験や、体験を増やしながら、少しでも子供たちそれぞれのチームでの活躍、また今後の野球を通じた成長に繋げることができればと考えています。
ぜひ、秋田の野球の未来に取り組んでいる皆さんと、秋田の野球を愛する皆さんが、もっとたくさん増えていき、秋田の野球が、もっと盛り上がっていけるように願っています。
F ’s Baseball Method では、いつでもトレーニングをご見学できます。スタートしたばかりの取り組みですが、子供たちと一緒に切磋琢磨しながら、成長の変化を感じ、子供たちの個性と、それぞれの取り組み方の違いなどを大事にしながら過ごしています。ぜひご興味のある方は一度ご見学にいらしてください。


~ profile ~

菅原達郎(すがわら たつろう)

菅原達郎 フィールドサポート代表
1982年6月20日生まれ
能代第一中学校・秋田商業高校
能代松陵クラブ・渟城西野球スポーツ少年団コーチ
F‘s Baseball Methodを運営し、野球に特化した身体作りを小6から中3までの子供たちを対象に指導