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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 映像機器の活用 ―

野球のバットスイングでも、バスケットのランニングシュートでも一見、簡単にできそうに思う。
しかし、実際にやってみるとなかなかその通りにはいかないものだ。
2度、3度と試しても予期したように体は動いてくれない。
そうなると自分には「無理だ」「困難だ」となってあきらめたくなる。
なぜ、見た通りに体が動かないのだろうか。
それは初心者が持っているその運動についてのイメージがあいまいであることに起因する。
自分では巧みにやっているつもりでも、映像器でフォームを点検すると、イメージと大きく懸け離れていることが判明する。
この運動をイメージ通りに実現するにためには、指導者のアドバイスを仰ぎながら、イメージと実行した運動の誤差を丹念に修正していく必要がある。
さらに、たとえ修正が達成されても、体で覚える(技能の固定化・自動化)段階まで反復練習を数多く積み重ねなければ、技能を身に付けたことにはならない。





しかし、技能を体得することは容易ではない。
集団の中で個人に与えられる練習の機会や時間はそんなに多くはない。
メンバーが多ければなおさらのこと。
この不足をどのように補ったらいいのだろうか。
まずは指導対象の選手と、模範となる選手(モデル)の動きを映像器におさめ、それを見せて自己の不足に気づかせるとともに、モデルとの同一化を目指すことを薦めたい。
優秀な選手の無駄のない、合理的な動作を数多く見ることによって、頭の中に目的とする運動のイメージがより早く正確に、しかも明瞭に形成される。
今は、ビデオカメラやデジタルカメラが広く普及浸透している。
子どものスポーツにも大いに活用し、効率よく成果を上げてほしい。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳