― やる気を高めるには ―
どんなに高い運動能力を有していても、やる気をもって意欲的に練習や試合に参加するのと、そうでない場合とでは、その成果に大差が生ずるのは当然であろう。
このことから、指導的立場にある人は、常に選手がモチベーションを高めるよう策を講ずる。そして、その基本をなしている考えが、「認める」「安心させる」「楽しくする」であるといわれる。
人は認められたいから意欲も気力もわき、素直にもなれる。大きな成功だけでなく小さな成功でも、達成でも、進歩でも、素早く見つけ、認め褒めたいものだ。ひいては、それが自信をもたせることにもつながるだろう。
スポーツは、厳しさを乗り越えなければ、強くはなれない。けれども長く継続するには、楽しさも必要である。練習にゲーム性を導入したり、変化をつけるなどの工夫を凝らし、マンネリを防止すべきである。
かつて、私が実施した運動選手の「やる気が起こる要因」に関するアンケートでの高率項目は、
①「認められたとき」
②「褒められたとき」
③「信頼されていると感じたとき」
の順であった。
自由記述では、「指導者のやる気を感じたとき」「指導者が尊敬・信頼できる人であるとき」が多かった。
一方、やる気が喪失す項目の高率順は、
①「嫌みや皮肉をいわれたとき」
②「くどくど説教されたとき」
③「無視されたとき」。
自由記述では、「能力がないといわれたとき」「指導者のやる気がないのが見えたとき」が多くあげられた。
この調査結果からみても、「認める」「褒める」「信頼する」などが、やる気を誘発するキーワードであると理解できよう。
人間は承認され、肯定されてこそ、活力がわき出ることを銘記したい。
ノースアジア大名誉教授 伊 藤 護 朗
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