― リーダーシップをいかに ―
チームの雰囲気なり、取り組む姿勢を見れば、指導者の方針や考えがある程度察しがつく。
それほど指導者のリーダーシップ(指導力・統率力)はチームに与える影響が大きい。
リーダーシップは、メンバーの意見に耳を傾けチームのまとまりに重きを置く場合と、メンバーの課題克服と成績をあげることに重きを置く場合とに大別される。
一般的には、指導者の特性に基づいたリーダーシップによって、チームが機能するものと考えられている。
しかし、自律性や意欲が高い集団では、良好な対人関係の維持を重視する集団志向型(民主的)のリーダーシップが効果的であり、逆に、自律性に欠け意欲の低い集団では、課題の遂行を重視する課題志向型(専制的)が有効であるといわれる。
すなわち、指導者に要求される特性は、そのチームの性質や内容によって異なるべきということになる。
私の指導経験からみても、能力の高い選手が多いチームでは、個々の自主性を生かすべき指導に重点を置いた方が、より成果を上げることができた。
一方、自信がなく消極的な選手が多いチームには、やるべきことを細かく指示し、プレーの一つ一つをチェックした方が効果的であったように感じている。
自己のリーダーシップの在り方に自信を持っている指導者は、チームの特徴や雰囲気に関係なく、自己中心のやり方に固執しがちである。
しかし、「人(にん)を見て法を説く」ではないが、リーダーシップの在り方もチームの状況に応じて柔軟に変えていく必要があるのではないか。
ともあれ、子どもはまだまだひ弱な状態。
常に、明るく大らかな雰囲気の中で指導したいものだ。
くれぐれも過度な鍛錬や過激な叱責は行わないように……。
ノースアジア大名誉教授 伊 藤 護 朗
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