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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 指導日記(記録)の効用 ―

日記を書く意義はいろいろあるが、とりわけ、自己の感情を客観的に見直したり、洞察したりできることがあげられよう。
感じたことを勢いに任せて書いたものの、後で読み返したら、「大げさだなー」とか「思い過ごし」ではないかと自省したことがある人も多いのではないか。  
指導日記といえば、選手との「交換日記」が真っ先にあげられる。
このメリットとしては、
1. 周囲に気をつかうことなく、率直に意見を述べ合うことができる。
2. 悩みや苦しみを吐き出すことにより、気持ちがほぐされる。
3. 相談したいと思うとき、いつでもできるので親近感を覚える。
などがあげられ、選手と指導者の間に信頼関係が深まることが期待できよう。  
筆者も交換日記を行ってみようかと考えたことがあったが、部員一人ひとりに等しくコメントの記述を継続する自信がなかったことや、内容が本音でなく見せるためのものにならないか、義務的になってマンネリ化しないか、など不安が先立って実施できなかった。
長いこと続けて成果をあげているという指導者のことを聞くたびに敬服している。



交換日記は実施できなかったが、自身の指導日記(記録)は毎日書くようにしていた。
練習中でも常にユニホームのポケットにノートを入れて、気づいたこと、周囲の方々からもらったアドバイスや情報、自分がミーティングで話した内容などを箇条書きふうにメモをした。  
過去の好不調の状況や試合展開などを遡って読み返すことで、大事な試合に向けての準備や対策を立てるヒントを得ることができた。
また、自分の指導していることの復習にもなったし、チームの進歩を確認することもできた。
それに、関係者の方からの貴重なアドバイスも忘れずにすんだ。
この日記が指導する上で本当に役立ったと、今でもつくづく感じている。  
「教えることは学ぶこと」でもある。
毎日の経験を通して発見したことや、選手を含めて他者から教わったことは、必ずや自身の成長のための糧となるに違いない。
指導日記をつけていない方には、一度試みてはと思う。

ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部監督として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳