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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 動作法とは ―

 体が固まってガチガチになる。声が小さくなる。顔面が蒼白になる。
これらはスポーツ選手が上がったときによく見られる徴候だ。
筆者も度々こういった状態に陥った。特に、指導者時代は選手のときよりも重圧感が大きく、吐き気をもよおしたり、顔がこわばったりで、周囲に気づかれないように苦労した。
 心と体は密接に連動している。心が過度に緊張したり、気後れしたりすると、筋肉も緊張することになり普段の動きや考えができなくなってしまう。
ストレスの管理や不安の除去のために、さまざまな方法が開発され広まっているが、すべて理論通りに効果をあげられるとは限らない。もちろん緊張を和らげる方法を模索することは重要であるが、同時に、実際に起きている緊張状態を、いかに軽減させるかも大事なことだ。
 心が緊張すると体も緊張するが、逆に、筋肉をリラックスさせると心もリラックスするという考えもある。
いわゆる「感情が行動を支配(コントロール)する」と、「行動が感情を支配する」の両面が存在するという理論だ。



 この考えを参考にして、緊張を少なくするために筆者が選手によく指示したことは、
「動作を大きくしろ」
「大きな声を出せ」
「肩から力を抜いて小刻みにジャンプしろ」(緊張すると肩に力が入る)など。
筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことで心と身体をリラックスさせるといた方法(筋弛緩法)もあるが、子どもの場合は容易にできるストレッチや柔軟体操の一部を取り入れても有効だと思う。 このように、行動(動き)によって緊張を緩和させるという考えが「動作法」である。
 人間の行動とは不思議なもので、勝算があり意欲的で前向きな気持ちになっているときは、胸を張って上を向いている感じになる。
その反対の場合は、どうしてもうつむき(頭を垂れる)加減になってしまう。
 背筋を伸ばすだけでも内臓の働きが活発になり、自然にやる気や元気が出てくるという。
゛弱り目に祟り目゛にならないよう、苦しいときやピンチのときこそ、卑屈にならず堂々と胸を張って行動したいものだ。

ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部監督として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳