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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 忘却は練習終了直後に最も著しく進行 

一度学んだことでも、聞いたことでも、8時間以内に半分以上忘れてしまう。
後で思い出すきっかけがなければ、その95%はすっかり忘却することになるといわれる。
ですから、再学習することを怠れば、たちまち知識なり体験したことなりが消滅することになろう。
教わったことを着実に蓄積できるように、スポーツでも学校の勉強と同様、自宅学習(復習)をする必要がある。
野球の場合、「タッチ・アップ」とか「インフィールド・フライ」のルールを教えたら、たとえば「家に帰って風呂の中でもよいので思い浮かべるように」と指示する。
技術についてもしかり。
寝る前にバットスィング10本やること、シャドーピッチング10回やること、などと促したい。
ほんの5~10分程度のことでいいと思う。
それだけで、次の練習へのモチベーションも大いに高まるはずだ。
“それはできる”“それは知っている”といって教えに耳を傾けない人をよく見かけるが、その先忘れないという保証はない。
知っていることでも、再学習すれば、忘却する度合いがはるかに少なくなることは間違いない。
また、自分と違う意見だといって、のっけから取り合わない人もいる。
それでは視野を広めることはできない。
異なる意見や考えでも、受け入れて記憶に留めておけば、いつか必ず役に立ったり、参考になったりするものだ。




スポーツ選手で伸び続けている人を見ると、指導者の言葉には、素直に耳を傾けている人が多い。
耳を傾けるのは、吸収力があるということ。ですからそれはむしろ当然のことといえるのではないだろうか。
学んだことを忘れないように家に帰ってから再学習することや、指導者や保護者の話には素直に耳を傾ける(聞く耳を持つ)ことの大切さを、小学生の頃から繰り返し教え諭してほしいと思う。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部監督として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳