― 忘却は練習終了直後に最も著しく進行 ―
一度学んだことでも、聞いたことでも、8時間以内に半分以上忘れてしまう。
後で思い出すきっかけがなければ、その95%はすっかり忘却することになるといわれる。
ですから、再学習することを怠れば、たちまち知識なり体験したことなりが消滅することになろう。
教わったことを着実に蓄積できるように、スポーツでも学校の勉強と同様、自宅学習(復習)をする必要がある。
野球の場合、「タッチ・アップ」とか「インフィールド・フライ」のルールを教えたら、たとえば「家に帰って風呂の中でもよいので思い浮かべるように」と指示する。
技術についてもしかり。
寝る前にバットスィング10本やること、シャドーピッチング10回やること、などと促したい。
ほんの5~10分程度のことでいいと思う。
それだけで、次の練習へのモチベーションも大いに高まるはずだ。
“それはできる”“それは知っている”といって教えに耳を傾けない人をよく見かけるが、その先忘れないという保証はない。
知っていることでも、再学習すれば、忘却する度合いがはるかに少なくなることは間違いない。
また、自分と違う意見だといって、のっけから取り合わない人もいる。
それでは視野を広めることはできない。
異なる意見や考えでも、受け入れて記憶に留めておけば、いつか必ず役に立ったり、参考になったりするものだ。
スポーツ選手で伸び続けている人を見ると、指導者の言葉には、素直に耳を傾けている人が多い。
耳を傾けるのは、吸収力があるということ。ですからそれはむしろ当然のことといえるのではないだろうか。
学んだことを忘れないように家に帰ってから再学習することや、指導者や保護者の話には素直に耳を傾ける(聞く耳を持つ)ことの大切さを、小学生の頃から繰り返し教え諭してほしいと思う。
ノースアジア大名誉教授 伊 藤 護 朗
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