menu

スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 運動練習の「転移」  ~他の種目も経験させよう~ 

どんなに素晴らしい指導をしていても、年中同じスポーツ種目に取り組んでいては、知らず知らずのうちに動作に偏りが生じたり、微妙なズレが起きたりして、練習の効果が一時的に停滞する「高原(プラトー)現象」や「スランプ(不調・不振)」に陥ることがある。
こうした状況を避けるためにも、シーズンオフだけでなく、シーズン中も時おり他の種目を経験させることが必要だ。
すべての種目に共通性があるとは限らないが、多くのスポーツには、それぞれ共通する基本的な動作や姿勢がある。
たとえば、野球とバスケットボールの共通性は、ヒザにゆとりを持って中腰で構える姿勢や前後左右に動くステップ、ボールの受け方などが挙げられよう。
このことは、野球選手がバスケットの練習によっても練習の効果を得られることを意味するが、一方の練習で獲得した技術を他の練習に転移(活用)させ、自らの成長に役立たせることを練習の「転移」という。




かつて、筆者が指導していたチームの優秀な選手には、野球だけでなくスキーやバスケット、サッカーなど他の種目も、得意とする人が多かったように記憶している。
幼い頃からいろいろな運動の体験を積み重ねた成果だと思う。
反復練習することは極めて大事だが、いつも同じようなことの繰り返しでは、 モチベーションも集中力も高まらない。
それに視野も狭くなりがちだ。
特に、高原現象やスランプに陥った時はなおさらのこと。
そんな時には他の種目を取り入れたり、練習内容に変化をつけたりして目先を変え、いつもとは違う方法でバランス感覚や対応力に磨きをかけてほしい。
このことが復調の効果的手段になるものと、筆者自らの経験で確信している。
以前にも述べたように、小学生時代はあらゆる能力が大きく伸びる大切な時期。
毎日の練習がくれぐれもマンネリ化しないことを願ってやまない。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳