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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 経験値を高め、逞しく  ―

人間は「環境の動物」ともいわれるように、環境から刺激や影響を受けることは確かである。そのことは、「運動能力がそんなに高くないと思われていた人が、レベルの高い集団に所属したら、感化されて見違えるように成長した」というようなことを耳にすることでも理解できよう。
オリンピック3大会に出場し、金3銀4個のメダルを獲得している体操の内村航平選手のこと。
小学1年生で初めて大会に出たが、頭が真っ白になってバック転ができずに最下位。
「息子(航平)のメンタル面を強くしなくては……」と考えた母は、出費がかさんでもたくさんの試合や大会に連れて行った。
ときには海外にも出向いた。
今、息子があまり緊張せずに演技できるのは、「試合の数や経験かな」(母)とマスコミのインタビュー(2012.8.3)に答えている。
児童の例ではないが、かつて筆者が高校野球の監督をしていた頃、甲子園で優勝を果たした関西の高校に遠征し、練習試合をしたことがある。
憧れのチームとの対戦で、選手たちは相手のいいプレーを吸収することにどん欲であった。
技術や戦略ばかりでなく、チームの雰囲気、挨拶(あいさつ)の仕方、マナーなど、学び得たことは計り知れない。
その後もそうした強豪校との交流を重ねることによって、チームが逞(たくま)しさを増すことができたように記憶している。




「気後れ」や「劣等感」は、相手を過大評価し不安を覚えることによって起こる。
子どもにこの不安を解消させるために、理論や理屈で説くことが多い。
だが、本人自らの経験を通して、それを実感できなければ効果は薄い。
人間は「行動する」ことによって伸びるともいわれる。
経験値を高め、未知や未経験の不安を払拭してこそ、自信や勇気や動じない心が育まれるものと考えられよう。あらゆる能力が最も高まる児童期。
くれぐれも「井の中の蛙」にならないようにしたいものだ。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳