― 習慣は第二の才能 ―
小学生の平常練習は、2時間くらいだと思うが、中学生や高校生になればもっと長くなる。
これまでは平日でも3~4時間、休日では6~7時間に及ぶクラブも珍しくなかった。
それほど長い練習でも習慣になっているので、不平や不満を口にすることもなく、みんな黙々と取り組む。
たまに監督が「今日の練習は2時間で終わる」というと、みんな大喜びし、より集中して普段よりはるかに濃い練習となる。
こういった経験は、私もそうだが、多くの方々が持っていると思う。
一方、いつも短時間の練習で終わっているクラブでは、3時間、4時間と長引けば、体力も気力も消失して、モチベーションがどんどん低下することに。
勉強にしても同じこと。
長時間平気で自宅学習に取り組む人がいるが、その人たちは小学生時代から、自宅でも決まった時間、学習するという習慣を身につけている場合が多い。
そうでない人が中学生になり、やがて受験の学年なって、急に心を入れ替えて頑張ろうとしても、習慣化するまでは至難の業(わざ)。
「毎日寝る前に歯を磨く」「家の手伝いをする」「挨拶をしっかりする」など、すべて最初は窮屈で抵抗感があり、スムーズに実行できないが、義務的、強制的にやらせられているうちに、次第に習慣化し楽にできるようになっていく。
ですから、習慣は「第二の才能」とか「第二の天性」と呼ばれるのだ。
子どものときから、やるべきこと、やらなければならないことを習慣づける。例えば、「準備体操や整理運動をきちんとやる」「全力で走る」「大きな声で相手に伝える」「失敗を恐れずに積極的にプレーする」など、基本的な心構えだけでも徹底できれば、大きな成果を上げられるはずだ。
能力のあるなしを、ことさら気にする人を見かけるが、その前に、やるべきことを「習慣化」させることに、意を注ぐべきではないだろうか。
ノースアジア大名誉教授 伊 藤 護 朗
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