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スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 長所に着目を ―

精神科医の明橋大二氏は、「人と比較されて、けなされ続けた子どもは、自己評価が低くなり、すてばちになっていく」と述べている。
また、ドロシー・ロー・ノルトの詩『子は親の鏡』の中に、「……子どもを馬鹿にすると、引っ込み思案な子になる……励ましてあげれば、子どもは自信を持つようになる……」という言葉がある。
親の育て方が子どもの性格に大きく影響することを示唆しているのだが、このことは親だけでなく、教師や部活の指導者にもあてはまるといえよう。
人間ははじめから性格や人格を持っているのではない。
その基礎となる遺伝的「気質」(資質)を持って生まれ、養育やしつけ、教育、さらには社会や文化の影響を受けながら形成されていく。
性格や人格は各個人特有の感情、意志の傾向や性質を意味するものであるが、この大部分は児童期(小学生時代)において形成されるといわれる。
そうであれば、小学生の子どもの教育や指導に携わる人は、とりわけ重大な任務を担っているといわなければならない。





技術的には力の差がほとんど認められないのに、勝負強い人とそうでない人に分かれるが、勝負強い人たちに目を向けると、「自意識が強い」「我慢強い」といった特徴を持っていることが分かる。
こうした性格特性は、指導や訓練によっても形成されることを銘記しておく必要があろう。
厳しく鍛えるからこそ、根性がつくのだ、とよくいわれる。
しかし、褒めて鍛えると根性が生まれるという見方をする人もいる。
どちらにも一理はあるが、特に今の子どもには、それぞれの長所を見出して、自尊心を刺激しながら鍛えていく方が、道理にかなっているように思えてならない。
はたして、皆さんはどうお考えでしょうか。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳