~ 新監督に聞く ~
TDK 野球部 監督 佐藤 康典 (さとう やすのり) 48歳 経法大付高(現・明桜高)―秋田相互銀行(現・北都銀行) |
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阿部博明前監督の退任に伴い、7月から名門TDK野球部の監督に7年ぶりに帰ってきた。
野手出身だけに、目指すは「打撃のチーム」。そのことから、手始めに手を付けたのが、打撃のてこ入れ。
選手には「ストライクを3つ、三振を怖がらずにフルスイングをする」という意識改革からのスタートだった。
また、若手選手をゲームで使い、育てることにもウエートを置いている。なかでも将来性のある小坂井智朗(青学大)には期待を寄せている。
どの打順からでもチャンスをつくるには、ゲームの主導権を得るためにも若手とベテランの融合は必須。
ベテラン陣では近藤恭平(東海大)、上野司(常盤大)、前田憲麻(上武大)、岩佐一樹(八戸大)らも若手に交じり、積極的に練習メニューをこなしている。グラウンド整備に関しても「若手の見本になるように」と率先して体を動かしている。
これも、チーム改革の表れだろう。
新監督自身、打者として野球人生を生きてきたことで「自分ができないことを、選手には指導できない」という考えが根底にある。
しかし、こと打撃練習に関しては口うるさく指導する。「1番から9番まで全員がホームラン打者」が新監督の理想のラインアップだ。
「投げる」「打つ」「走る」をとにかく全力ですることを選手には伝えた。就任早々の練習でも、走り込みで選手を相当追い込んだ。
「本当はもう少し追い込めたかな」(佐藤監督)。
8月からは実戦形式を多くした練習に入るが、打撃重視という基本スタイルに変化はない。
「監督が単純だから、選手も分かりやすいと思う」と本人が言うように、難しいことは言わない。
「ただ、単純なことをやり続けていくことの方が、大変なんですけどね…」
「目指すは全国優勝。でも、5年間都市対抗に出場できず、東北大会で敗退していることから、まずは東北で負けないチームづくりが第1目標。
今秋開催される日本選手権東北予選に向けては「一戦必勝。初戦のJR東日本東北に負けると後がないことから、全力で勝ちに行く」と意気込みを語る。
久しぶりのユニホームに「少なからず緊張感はある」という。スタッフも一新し、まさに“新生 TDK”のスタートに「5得点以上に2桁安打を放つ打線と、若くて勢いのある投手陣の活躍を楽しみにしている」
連日の猛暑が続いた今夏。この日も30度を超える暑さの中、グラウンドには若手とベテランの元気な声が響いた。
新監督の手腕と、チームの活躍を注目したい。
≪文・写真:ボールパーク秋田編集部≫