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Q. 野球を始めたきっかけは?
A.親父が井川町に初めて出来た野球チーム(井川クラブ)で野球をしていたため、物心がついた時からグローブやバットが周りにありました。とにかくテレビは必ず巨人の試合を観ないといけなかったので、始めたきっかけというより、野球をやることが当たり前のことのようになっていた気がします。遊びといえば野球しかなかったし、二人揃えば試合が出来ていました。

Q. 小学校・中学校の思い出は?
A.小学校当時は児童数も多くて、6年生になるとセレクションがあり、40人位の希望者が走力や遠投などを測定して、20人程度に絞られていました。身長は135cm程度しかなかったのですが、幸い合格した23人の中に選抜されて、そこから学童チームでの野球が始まりました。とにかく小さかったので、ボールも3本の指だけではしっかり持てず「わしづかみのカズ」と言われながらサードを守っていました。成績ですか?確か、郡大会で準優勝だったと思います。あまりにも昔のことなので、記憶が定かではありませんが(笑)。
 中学校では、ショートの子がバスケ部に入ったためショートを守ることになりました。最後の夏の大会は、一回戦で天王中に負けてしまいました。その対戦相手の桜庭広喜投手と高校で一緒に甲子園を目指すことになるとは思いもよりませんでした。

Q 金足農高野球部時代の思い出は?(練習や監督との思い出は?)
A.とにかく、先輩方に恵まれたと思っています。1年生の時のキャプテンが井川中出身の湊供日児(旧姓児玉)さん、2年生になるとまた井川中出身の渡辺亮さんでした。温厚な二人のお陰で、他の先輩方も愛の鞭を使うことは殆どありませんでした。当時の高校野球の環境を考えると、本当に感謝しています。
 ただし、恩師の嶋崎久美監督のことは皆さんのご想像にお任せします。自分の記憶では、まともに監督の目を見たことはなかったはずです。今でも、お会いすると辿々しくなってしまいます。練習もかなり厳しかったのですが、やめたいと思ったことは一度もありませんでした。
 3年生の時には、金足農高と経大付高(現明桜高)の2強(?)と言われ、春の大会では、全県を制覇して宮城県で行われた東北大会に出場しました。準決勝では東北高を破り秋田県勢同士の決勝戦となりました。残念ながら、敗れはしたものの、この大会のお陰で仙台への就職が決まったと思っています。
 最後の夏の大会は、やはり松本豊投手(元横浜大洋ホエールズ)擁する経大付高との決勝戦でした。残念ながら1対2の惜敗でした。
 ちなみに、金農野球部の代名詞である「雑草軍団」は、自分達がはしりだと思っています。当時、県内各地から優秀な選手を集めて初の甲子園を目指した「エリート軍団」経大付高に対して、男鹿・南秋地区を中心とした、いわゆる雑草のような名もない選手たち「雑草軍団」が、互角の戦いをしたことによって評されたと思っています。

Q. 社会人になっての球歴は?
A.仙台鉄道管理局(現JR東日本東北)で1年だけ硬式野球を続けることが出来ました。家庭の事情により、地元の役場に就職することになり、軟式野球を始めることになりました。
 当時の井川町役場(前身が井川クラブ)は、二部登録から一部登録に昇格したばかりだったのですが、羽後交通や経済連(現JA全農あきた)、秋田市役所や県信連等の強豪チームと互角に戦えるチームでした。入部後の戦績は、天皇賜杯全国大会2回、ミニ国体6回、官公庁全国大会4回等々の出場を果たすことが出来ました。
 今回、39年ぶりに東日本一部の本大会に井川クラブ監督として出場することになり、非常に感慨深いものがあります。「継続は力なり」をしみじみと感じながら、自分の息子よりも若い選手たちと一緒に、同じユニホームを着ていられることに感謝しています。

Q. これまでの野球人生で一番印象に残っている試合と選手は?
A.やはり高校野球最後の夏の大会決勝戦が一番印象に残っています。一瞬、甲子園に片足を踏み入れたと思いました。
 印象に残っている選手は、高校時代の秋田商高の熊谷和秋(元秋田相互銀行一塁手)さんです。バッティングの柔らかさ、バットコントロールに憧れた記憶があります。

Q. 2007年秋田わか杉国体(軟式野球競技会成年の部)での主将としての思い出は?
A.40歳を過ぎた親父たちが、高校時代に戻ったような感覚で、毎週のように遠方の練習会場に集合して必死に練習を重ね、満身創痍で本大会に向かう姿に感動していました。主将経験のない自分は、場を明るくすることだけを考えていた気がします。

Q. 井川クラブ監督としての今年の目標は?
A.今年5月に山梨県で開催される東日本大会(一部)に出場することになりました。前回出場した井川町役場がこの大会で準優勝しているので、その成績に追いつくことが目標です。

Q. 秋田県軟式野球連盟強化指導員として子供たちに伝えたいことは?
A.とにかく野球を好きになって欲しいと思います。野球だけをやって上手くなる訳ではないので、いろんなスポーツやトレーニング方法を日常の中に取り入れて、時間を有効に使って欲しいです。
 歯みがきのとき、ご飯を食べるとき、通学のとき、休み時間のとき、お風呂のとき、寝るとき、ちょっと工夫をするといろんなことが出来ると思います。

Q. 野球の魅力とは?
A.チームスポーツであることです。ツーアウトランナー無し、ツーストライクになっても、どちらが勝つか判らないところが最大の魅力です。  さらに、野球を通じて多くの仲間ができ、人と人とのつながりが拡がることも魅力の一つです。
今後は、心置きなく野球が出来る環境を造ること大切だと思います。上手い下手は関係なく、一生懸命楽しむことや、ケガをしないための努力をすることも大切なことだと思います。

Q. あなたにとって野球とは?
A.片思いの彼女のようなものですね(笑)。




≪文・写真:ボールパーク秋田編集部≫


~ profile ~

伊藤一彦(いとう かずひこ)氏

井川小-井川中学校-金足農業高校
  -仙台鉄道管理局-井川町役場
秋田県軟式野球連盟強化指導員