menu

スポーツ心理学から学ぶ
子供たちの育成・指導


      

― 「気持ちの切り替え」を素早く ―

筆者は長いこと野球に関わってきた。この経験を通して学んだ重要なことの一つに、試合での「気持ちの切り替え」がある。
述べるまでもなく、試合中はチャンスもあればピンチもある。
うまくいったときは、飛び跳ねるほどうれしいし、失敗したときはガッカリする。
けれども、その都度起きたことにこだわっていたのでは、次にくる“流れ”の対応に遅れてしまうことになりかねない。
例えば、ホームランを打って浮かれているうちに、バッティングの調子を狂わせた選手を何人も見てきた。
ホームランを打ったときの感動は、まさに天にも昇る心地。
だが、その陰には大きな落とし穴が待ち構えているのだ。
打たれた投手は、次からは配球を変えるなどして、同じ轍(てつ)を踏まないように工夫する。
それなのに本人は、ホームランを打ったコースと球種と打球が飛んだ外野スタンドにしか意識がない。
相手の攻略に対応できないまま凡打を繰り返し、やがて自らフォームを崩してスランプに。
チャンスはすぐに逃げ去る。
喜びは一時(いっとき)にして、素早く気持ちを切り替え、次の準備に取り掛かることが肝心だろう。





また、勝負に失敗はつきもの。
大事な場面でエラーをしたり、凡打したりはよくあることだ。
みんなの期待に応えられず、最も悔やんでいるのは本人自身。
それを責められてはさらに萎縮し、チームの雰囲気も暗くなる。
筆者の経験では、風向きが悪いときはバタバタしないで、じーっと耐えてチャンスが来るのを待つ。
そういう気持ちになれたときは、不思議にもチャンスが早く巡ってくることを実感した。
スポーツに「タラ・レバ」は禁物。
ですので、試合中は何が起こっても前向きにとらえる覚悟を持って、采配を振るわれたらどうだろうか。


ノースアジア大名誉教授
伊 藤 護 朗


~ profile ~

伊藤 護朗(いとう ごろう)
秋田経大付高、秋田経法大付高(現 明桜高)の部長、監督として甲子園3回出場
秋田経法大野球部として全日本大学野球選手権大会(神宮)に2回出場
秋田県アマ野球連盟会長を経て2014年4月から秋田県野球協会 会長(現職)
北東北大学野球連盟顧問
ノースアジア大学法学部長、学生部長を歴任
平成8年ノースアジア大学教授就任
著書、論文、学会発表など研究業績多数
秋田市出身 71歳